2019.09.12 #6の話(終) =TAKESHI=

#6の打ち込みに関しては、ほぼソフトウェアのプラグインで作りました。
最近ではソフトシンセも良い音を鳴らしてくれるものが多くあります。
#5から#6制作の間にメインマシンのMacProを新しく入れ替えて、OSもアップしたために、
それまでとは少し違うプラグインを試せて、ちょっとだけバージョンアップした感じかな。
基本的な部分は何も変わっていないけれど。

打ち込みで作っていくサウンドも、僕の場合は後付けで作るものはほぼ皆無で、
曲のアイデアが浮かんだ時から頭の中で鳴っている音を形にしていく作業。
最新のサウンドを求めるのではなく、自分らしい音を作っていく事を重視しています。

歪んだブレイクビーツに歪んだリードシンセ、歪んだキックに、歪んだ・・・
うん、とても自分らしい!
方程式や常識を壊して構築していくのが僕のやり方です。
正しい方法を知らないという話もありますが。
パンク精神で、それも良いです。

レコーディングで作り上げた上田剛士サウンドを、ライブでは草間さんのシステムから出力してもらっています。
ライブで聴けるライブアレンジは草間さんにアイデアを伝えて2人で構築していくので、また違った楽しみも感じられると思います。
TOUR #6においても少しづつ変化していくので、それも楽しみにしていてください。

そして今回のミックスはKuridというエンジニアチームの細井くんと行いました。
細井くんには (re:Rec) の時にエンジニアをお願いしたので、2度めの彼との作品です。
(re:Rec)での作業が最高だったので、今回はオリジナルアルバムの仕上げを手伝ってもらうことにしました。

僕が作った音には自分の音のビジョンが強く表れているので、どんなに優れたエンジニアであっても、そこを共有できない人とは作品を作れません。
なので、基本的には自分で完結させてしまうスタイルを多く取っています。
そんな中出会った細井くんは、彼が学生時代にMADのライブに来ていて暴れていたという、僕の音をよく理解している人物。
理屈や方程式、常識だけでは作り上げられない「音のパワー」を同じ目線で捉えることのできる、感覚を共有できる人。
僕のサウンドが「自分の血肉となっている」と言ってくれる、今の自分にとって最高のエンジニアの1人です。
新しいSound & Recording Magazine では僕と細井くんの対談も載っているので、興味ある人はチェックしてみてください。

彼との作業が今回も上手くいったことは#6を聴いた人はよくわかるよね?

そんなこんなで作り上げたAA=の最新作「#6」。
みんな楽しんでくれているよね?

#6を聴いた人の多くの感想が、どれもポジティブな物ばかりだったので嬉しい。
そして誰もがライブを楽しみにしてくれている事に「伝わっているな」という手応えを感じています。

#6はライブで感じて、みんなの中でさらに高いレベルで完成すると思うので、来れる機会のある人はライブでの#6を体感してほしい。
一緒に「#6」で、さらなるレベルに到達しましょう。

ライブハウスで待ってるぜ。

2019.09.03 #6の話(3) =TAKESHI=

ギターは基本的には、僕とミノルとで半々くらいの割合で弾いています。
左のバッキングがミノルで逆が僕、みたいな。
曲によってはミノルだけの曲、僕だけの曲と違いがあるのだけれど、それを聴き分けられてる人いるかな?笑

デモでのギターは自分が全て弾いて、そこでのプレイが曲のグルーヴを決め出来上がっているので、そのグルーヴについてくるのは少し大変。
僕のプレイはテクニック的にはまるで難しくないんだけど(笑)、グルーヴが少し独特らしく、コピーするのに一癖あるらしい。
それは過去の曲にも言える事なんだけど、AA=やMADの曲は、作っている僕が弾けるものしか作らない(作れない)ので、
運指や指使いが難しいフレーズは無いのです。(言いきる!)
その代わりにちょっと癖のあるグルーヴなので、
せっかくギタリストに弾いてもらって録音してみても、上手くハマらない時は僕が弾いてしまうという事もあるんです。
プロデュースしている曲もソロ以外は全部自分で弾くので、僕の曲をよく聴いてる人から「聴いた時にすぐにわかった!」と言ってもらえるのは、
そんな僕の独特な弾き癖、グルーヴにも要因があるんじゃないかな。

そんなAA=のレコーディングでは、僕が弾いた基本になっているギタートラックと、それにガッチリ合わせてグルーヴを作れるミノルのギター。
そして、さらに楽曲に広がりを持たせるギターが必要になるので、
そのアレンジをミノルと2人で考えます。
この作業、とても好きな作業の一つで、いつも楽しみにしています。
自分は座って注文つけるだけの気楽さも良いのかも。笑
でも試したアンサンブルが決まった時の気持ち良さは、一人だけでは生まれないものなのです。

ボーカルに関しては今回いつも以上にイメージしてた事があります。
それはタカにいつもよりラップをしてもらう事。
タカのベースになっているのはヒップホップなので、いつもよりその雰囲気を取り入れたかったのです。

いわゆる日本語のJラップとは違うタカのラップをAA=なりに活かせたんじゃないかな。

タカとのレコーディングは2人でスタジオに入って、僕がオペレーションしてタカの歌を録っていく形。

ギターと同じ様に、デモでの歌は僕が歌っていて、そこはやはり上田剛士特有のノリが存在するので、そこを形にする事は少し大変です。
AAはもちろん、MADの時でもプロデュース物でも僕がディレクションする時はいつもそうなんだけど、
デモでの良さを表現するために、ボーカリストに細かな指示するのはなかなか難しいのです。
感覚的な部分が多く、音符的な部分だけではない所も多いからね。

でも最近のタカとのレコーディングはとてもスムーズ。

「とりあえずやってみようか」
「いいね!その感じ!」

とほぼ数テイクで終わってしまいます。

こんな部分にも10年やってきたAA=のバンドとしてのストーリーを感じる事ができました。